WORK DESIGN 感想。不景気の原因は格差だった!
この本を読んでほしい人
ジェンダーについて述べているけれど、障害者雇用や、非正規雇用などの格差をどうにかしたい人、それから不景気に悩んでいる人、業績を上げたい人にもぜひ。
なぜなら、不景気の原因はジェンダー格差だったというのです!
以下、ざっくばらんな感想です。
WORK DESIGN(ワークデザイン):行動経済学でジェンダー格差を克服する
- 作者: イリス・ボネット,大竹文雄(解説),池村千秋
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2018/07/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まずは男女差別。
もう嫌になるほどありますよね。私も試しに「男」で転職サイトに登録したら条件がめっちゃくちゃよくて腹がたちました!
一つはブラインドテストという方法があります。1970年代までアメリカのオーケストラでは5%しか女性がいませんでした。当時は女性は演奏が下手だという常識があったそうです。そこで、カーテンで仕切って性別が分からないようにしたところ、女性の合格者が50%を超えたのだそうです。
5%が50%!?
選ぶ人自身もこの結果にはショックだったそうです。公平なつもりだったのに、見た目や常識にこんなに影響を受けてしまうとは。
この時まで、女性は演奏が下手だからオーケストラの団員に選ばれないのだと思われてきたのです。そうではないと分かると、女性は感情的とか家庭が大事etc でもめるのですが、もめまくって45年後の現在、
40%が女性
まず、オーディションを受ける人が倍増した結果、オーケストラの質が高まりました。ついで女性のファンが増え、オーケストラを聞きに行く人がうんと増えた。運営も女性が入ることで快適になり、またさらにファンが増え、ビジネスが広がった。めでたしめでたしです。格差を解消すると業績が上がる。これは朗報ですね!
女性に期待しないことで・・・
あるクラスで「この生徒は期待できる」というリストを教師に与えます。一年後にテストをすると期待できるリストの生徒の成績は上がり、そうでない生徒の成績は下がったという実験があります。
これと同じく「女性は数学が苦手」「女性は機械が苦手」「女性は・・・」という思い込みのおかげで、女性は学校教育で不利な状況に。そうしてだんだん自身を失い、自己肯定感が下がってしまうのだそうです。社会にでてからもなかなか採用されなかったり、サポート的な立場に置かれつづける事で能力が失われてしまう。こわい!
うーむ。これは。
障害者向けの研修で嫌だなあと思ったのが、「・・・はできない」「・・・はむりでしょう」と言われ続ける事。全く出来ない事はともかく、何もかも「出来ない」事にさせられている感じが非常に窮屈に思いました。障害者教育の結果、最初のチャンスが奪われているということも・・・?
ジェンダー研修が逆効果だった
ジェンダー研修を受けると、私はこんなにいい人なんだからと「免罪符」を与えられた気分になり、つい差別的な態度をとってしまう。逆効果になってしまうケースが少なくないそうです。なぜ人権問題に熱い人がセクハラしてしまうのかも関係しているのかも?
研修で差別意識を変える事は無理なので、仕事のあり方や仕組みで差別が起こらないようにしましょう、という事でした。
なぜ女性は、競争、交渉、出世を避けるのか
女性はリスクをとりたがらないのはなぜか。それは公平なブラインドテストと違って、競争的な仕事の場合、よりジェンダーが不利に働く可能性が高いという事を経験的に知っているからだといいます。目立つ事で攻撃されたりもするしね。
給与の交渉をしたがらない傾向も。女性の給料が低いのは何故かの研究では、女性が給料の事をいうと嫌われる、嫌われると仕事をしにくくなると避ける傾向にあったそうです。この研究をもって、著者は事前に念入りに作戦を練って交渉。成功します!しかしアカデミックではない民間で同様に交渉できるかは自身がないそうです。
これはあるあるだ。
派遣で働いていたとき、つまり正社員ー非正規の格差のあるお仕事では、給料の事を口にしてはいけないマナーですと聞いていた。まあ、飲み会とかでこそっと聞いて、同じ仕事をしているのに2、3倍の差がある事にびっくりしたけどね。
一歩前に!撃たれるぞー!!!
女性だけど活躍するぞ!と一歩前に出たとします。「リーン・イン」ですね。でもだいたい撃たれます。死屍累々です。その研究はまるで検視官のようです。
女性はやさしくあってほしい・・・そんな願望のおかげで。ご期待に添えない女性がどうなるかというと。
優秀であるほど男性上司から厳しい評価を受けてしまう、女性が成果を上げると冷たく嫌なやつと思われる、女性部下にはしょぼい顧客リストが渡され「公平」な評価を下すetc ひどいですね!
「成功してる女性に対して、嘘つきの男性に対するのと同じような態度をとり、そのような女性を嫌い一緒に働きたくないと思う」願望に反すると制裁されてしまうという怖い例でした。
とにかく無策で行くな!しぬぞ!
はやくいってくれー!もう撃たれまくってますって!
これは、障害者としてやっていく際にも言えますよね。
障害者はピュアでがんばっていてほしい、仕事はできなくても皆に元気を分け与えてほしい。そんな願望がある事は知っていました。けどそうではない私の場合。ぐったりすると怒られ、仕事ができると睨まれるという居心地の悪い事・・・。なるほど、あれは願望に反した制裁だったのか。なるほど。
まいったね
格差があると不景気になりやすいという説が本当だとしたら、男女、年齢、正社員ー非正規、障害と、どんどん格差が進んでいってる日本はもう詰んでるって事なのかな。
一応、どうやったら格差が解消するか、格差の中でうまくやる方法も書いていたけど、、、できるかなあ。ともかく一人で格差に立ち向かうのは無鉄砲だという事はわかった。あまり無茶はしない事にしよう。
もし、業績を拡大したいという方がいらっしゃいましたら。ぜひ、ブラインドテストなど試していただけたら。それで最後にめでたしめでたしって言いたいな。