悪い奴ほど出世する

 20代で仕事をクビになりまくった時期に、ビジネス書を読みまくった。30代はあちこちビジネスセミナーに行ってみた。とにかく出世してバリバリやりたかった。


 神田昌典、金持ち父さん貧乏父さん、超整理法勝間和代ドラッガースタンフォードのなんとかシリーズ、7つの習慣、嫌われる勇気、年収300万円代を生きるシリーズ、ランチェスター戦略、などなど。

 

 多少はましになったさ。でも結局つまづきまくってうんざりして今はごろごろしている。ははは。どういうことなんだってばさ。

 

 まあ、そんなわけでこの本が面白かったのは、ビジネス書やリーダーシップ教育が流行っているわりに、成功者が少なすぎない?という疑問からはじまる。

 

 

 

 うすうす感じてはいたけれど・・・売れるビジネス書の物語は、現実とはだいぶ違う。なんでかというと売れるビジネス書は感動的な物語で構成されているから。だけど現実は感動だけじゃない。汚い事もつまんない事もある。でも汚くてつまんない物語は売れないので、ベストセラーにはならない。

 

 そういえば人気のセミナーも終了後のアンケートはあったけれど、1ヶ月後、半年後、一年後、数年後にセミナー受講者がセミナー通り成功していたかは追跡されなかったな。成功者として壇上で紹介されるのは数千人の受講者のうちほんのひと握り。いま考えればわかる。でも感動してそうだそうだって思ってしまったんだよなあ・・・

 

 失敗ケースがこれまた、うわあ、あったわーという事例で。うまくいった仕事を横取りされたり、チームから追い出されたり、あいたたた・・・涙でちゃうよ。
 著者によると、感動的な物語にはまりすぎると、汚い手にひっかかりやすくなるそうです。そうか・・・そうかも・・・

 

 思い出したのが「自閉症津軽弁を話さない」という本。

 

 


自閉症(ASD)の人は親から言葉を学ぶ事が難しいのでテレビやラジオから言葉を学ぶ。その結果自閉症の人は標準語を話すようになり、なまりがキツい地域だとそれが目立つのだという。

 

 たぶんこれ、言葉だけじゃなくビジネススキルについてもそうで。
ビジネス本を読みまくったことで、そこに書かれている事はある程度できるようになりある程度は適応できるようになったけれど、書かれていない事・・・汚い事には適応できていない。そう考えればつじつまがあう。

 

 ためしに、うんと汚そうな本を借りてみたけど読むのが辛すぎて挫折。ほんと汚いですよ!汚さ耐性つけたいのにメンタルがダメダメだと読めない。むり。元気になったらちょっとずつ読もう。

 

 お気に入りの本。汚なくても、ホラーでもバトルでも最終的に勧善懲悪されているもんなあ。でも現実には悪い事してもなかなか罰せられない。まるで戦国時代みたいだ。

 

 汚い手は本やセミナーでは教えてもらえない。
ビジネスマナー研修にも、ソーシャルスキルレーニングにもない。
だからいつもひっかかる。だったら、いったいどうしたらいいんだろう。

 

 これまで引っかかってきた汚い手を思いだしてみる。
うううむ。ASDの私にとってこの社会で生きるとは。ギャングの世界で生きる気持ちでちょうどいいのかもしれないな。