路上のX ・・・渋谷で家出は辛すぎる。どこに行ったらいいんだろう。
最近、家出ものが面白くって読んでいます。だけどこれはダントツに辛い物語。これまでのノーテンキな家出本と一線を画している物語でした。
家出の暗黒面を取材し、構成した物語です
なんでこうなるんだろう。。。
主人公の真由は普通の女子高生。ある日突然両親が失踪し親戚の家に預けられます。
ところがその家でめちゃくちゃいじめられるんです。寝る場所がない、食べるものもない、買うお金もない。仕方がないから台所から盗んで食べたらさらにもっと虐められ、それで仕方なく家出するのだけど・・・
時期が悪いのか、場所が悪いのか。人情にふれてやさしい人たちに救われ・・・ない。のんびりキャンプして旅していい人と出会ったり・・・しない。路上のXは、助けを求めたら逆にもっと危ない目に遭ってしまいます。
実際の取材に基づいて構成された話ということで、なーんかあったら家出しよーぜってのんきに思っていたところに、次々あぶない大人にたかられる話が衝撃的でした。
私が家出してよかったー!と思っているのは、たまたまいい人に出会い、悪い人に出会わなかった、ただそれだけの事なんだと思います。ふとこの話を思い出しました。
これから家出をする人には、無事じゃ済まなかった人の話が必要なんじゃないかな。
先日見た天気の子も家出してました。その時、あやしい若者に居場所を提供したのがまともな大人だったのは、運良くという他ない気がしてきました。
それが、身近な若者の街だっていうのが、辛い。
16歳といえば何かと家出したがる時期です。親だって事情があって育てきれない事もあるだろうし、単純に考えが合わなかったり、訳のわからない衝動に駆られる事だってあるだろうし。家出したらまず最初に目指すのは、知っている場所です。真由の場合それが渋谷でした。
渋谷が家出にやさしい街ならいいのに。
ところが、せっかく家出できたのに、次々とダメな大人にたかられてしまいます。そこは逃げろよ!そこはかわせよ!そこはズルしちゃってもいいよ!!!って何度も何度も思う。だけどまっとうな家で育った真由には人の悪意がわからないんです。
真由のピンチを助けるのは、同じように渋谷をさまようリオナとミト。二人とも悲惨な環境で育ち、危険な一線を越えながら何とか生きている。悪意には敏感だけど生きる手段は非常に限られている。そんな3人が助け合うって一筋縄じゃいかないのです。そこから先の物語は本編を読んでいただくとして・・・
ぼろぼろの子供を見かけるけれど、
渋谷を歩くと、ときどきボロボロでふらふらな子をみかけます。だからって「大丈夫?おなかすいてない?今日寝る場所はある?」なんて声をかけられない。「大丈夫かい、ごはんたべてく?」って言えたらいいのに。
ふと、お金がなくてお腹がすいたらどうしたらいいかなと、渋谷の街をあるいてみました。ヒカリエができて、オリンピックの再開発でとてもきれいになったけど、昔みたいに漁れるゴミ箱はなくなってるし、すみっこの眠れるスペースはだいたい何かでふさがれている、、、
運良く小銭があったとして、未成年が夜中に安全に居られる場所がない。うろちょろしていると補導されて強制送還。チョロそうな子に絡むチャラ男は次々出てくるし。Lv1勇者には厳しすぎる・・・
じゃあどこに助けを求めたらいいんだろう。最近、女子トイレにDV相談のチラシが置かれるようになったけれど、、、お金がなくて食べるものも今日寝るところもない時に、相談できる所は見つかりませんでした。
渋谷って、経験値ゼロで家出したら最初に目指す街になりやすいのに、最後の街じゃんってくらいモンスタはわんさか出るし、セーブポイントは見つからないし、これでは開始早々事件になるのも当然です。まちづくりの人、気が付いていないのか。
真由が最初の街に、高田馬場や巣鴨を選んでいたら、、、と、ついつい考えてしまいます。
あの路上のXさん、今日どこで寝るんだろう。。。
家出の成功は、最初にどんな人にあうのかにかかっている?
路上のXと天気の子、何が違ったんだろうと考えてみました。
たぶん、ですが、、、余裕のある人にあったかどうかが違うのではないでしょうか。天気の子の帆高君が出会ったのはライターの須賀さん。子供を保護して居場所を提供できる余裕のある大人でした。
真由が出会ったのはギリギリのがけっぷち、だまして奪おうとする大人です。同じ街での物語なのに。。。真由が出会ったのが須賀さんだったらよかったのに。帆高君があのラーメン屋でバイトをしてたら荒れてしまいそう。
いろいろ考えてしまいます。。。
