刑務所のリタ・ヘイワースとショーシャンクの空を観ました。
読みたいと思ってた、スティーブン・キングの本を読みました。
この物語は、壁を乗り越えていく話です。
差別の壁、奴隷の壁、意識の壁、物理の壁、時間の壁。
壁を感じているから共感したのかも・・・。
ヒーローが空気読めないキャラなのもいい。
- 作者: スティーヴンキング,Stephen King,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1988/03/30
- メディア: 文庫
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小説版、次から次へと登場人物がでてきます。人の名前を覚えられない私はこんがらがりまくりんぐ!
まさに、おじいさんが語る昔話って感じです。時空を自由自在に飛び回る。一度途中であきらめて、年表をつくりながら最初から読み直したら、読みきれました。
そして映画版を見ました。
ああ感動!
こっちは話がシンプルでした。先に見とけばよかった。
すっごくいい話だったので、ぜひ観てください。
以下、感想はネタバレしまくりです!
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壁の中の世界って、進撃の巨人そっくり!?
いやこっちが本家でした。壁の息苦しい事・・・だんだん慣れて、壁に頼るようになり、壁の中でしか生きられなくなる。狭い社会に適応してぎりぎり生きるんです。
そこにやってきた主人公「おれ」に語られる「アンディー」この人、徹頭徹尾空気を読みません。いいぞー、ナカマだ!親近感わくわく。
「おれ」も面白い人で刑務所で30年ほど調達屋をしています。終身刑を受けた人はだいたいメンタル腐っていくのですが「おれ」はちょっとのスキをついて、壁の外からタバコや酒、趣味のモノを輸入するのに生きがいを感じている。それで正気を保っています。となんでも取り寄せてくれるんです。
そしてADHDの私にとって怖かったシーン。それは陪審員の心証のよしあしでアンディーの運命が決まるシーンです。
状況証拠は彼を殺人犯だと示しているのに、空気を読めず、不利になる証言をしてしまい、無実なのに冷酷な殺人犯と思われてしまうのです。そして終身刑になります。
刑務所は本当にひどい所で、逆らえば棍棒でボコボコ、死んでもしょうがない、レイプもリンチもありの世界です。みんな卑屈になっていく。
でもアンディーは適応しない。心の豊かさを失わない。
レイプされてもチャンスを見つけて逆に脅す、鬼看守の愚痴をのがさず、殺されそうになりながら、取引を持ちかけ勝つ。不利な状況で自分を守りながら生きるってこんな感じなのかな・・・と思いました。
元銀行員の腕を生かして、獄中から投資アドバイザーになり、成功します。この件をきっかけに、財務・会計の腕がすばらしいと認められ、レイプから守られ、図書室の仕事に配属されました。
そうしてリタ・ヘイワースのポスターがアンディーの檻に飾られます。
うわお、セクシー!
図書室のブルックリンじいさん、刑務所はなんのために?
前任の図書係のおじいさんのエピソードが可哀想で。。。殺人で50年間服役、もうよぼよぼなのに、ある日突然釈放されてしまいます。おめでとう、がんばって生きろって見送られる。いやがらせなの?ハードすぎる・・・
「50年前は車は一台見たっきりだった・・・今は車だらけだ」とおどろくシーン。道路にはセダンやクーペが走り回っています。1900年、そのころの車はこれ。
車が一般化したのが、量産型T型フォードの販売1907年以降ですから、まだ車はほとんど走っていません。そこから車がバンバン行き交う社会にでてきたら・・・おっかなかったでしょうねぇ・・・。
図書室を充実させる、生きがいを感じる
図書係になったアンディーは、図書の予算がほしいと連邦委員会に手紙を書き始めます。最初はバカにされていましたが、毎週毎週、刑務所に教育が必要なんだと訴え続けて10年後に200ドルの予算、20年後には1000ドルの予算がついたのです。
ほんと粘り強い。銀行員だからかもと思いました。利子がついて効果を産むには10年、20年の時間が必要で、その効果を体感してきた人の発想だなと思いました。
ふつうの人間の感覚から利子の効果を感じるのは難しいです。私も貯金がなかなか続かなくて・・・汗
おれ、「レッド」と呼ばれる
映画では最初からレッドですが、小説版ではずーっと「おれ」で10年後のふとした会話で「なあレッド、」と呼びかけられるんです。そこからずっと「レッド」「レッド」で。ガチガチの堅物が長い時間をかけて親しくなるってもう尊い!いちばん好きなシーンです。
アンディー、真相を知る。そして、
壁の中で不自由ながらも安定してきたある日、アンディーは自分を陥れた真犯人の事を知ります。ところが、事件から20年もたっているし、まあまあ大人になってとなだめられます。ブチ切れ暴れるアンディー。
実は刑務所の運営に欠かせない人物になっていたアンディーを手放したくない所長の仕業だったのでした。
このシーン、あるわぁ・・・と思いました。
家事を一生懸命やっていたけど、仕事に復帰したいと相談したら「お前はもう働けないよ、無能だよ」と言われ続けたとか。安い給料で一生懸命やってきて転職を考えるけど「どこも雇うところはないよ」と言われて怖くなるとか・・・。頑張っても搾取型の人に当たったらこうなるんだよなぁ。。。
そうしてさらに虐待され、奴隷状態でむりやり働かされます。
逃げてアンディー!
心底そう思いました。でもここは刑務所だしどうすんの!!!
に・げ・た
これには驚きました
アンディーの人間力でなんか奇跡が起きるんだろーと思ったら、まさかの逃走!!!逃げるんかい!!!逃げ方もこれまた驚きの粘りです。1日に手のひら一杯ずつ掘ること20年。おそろしい根気強さです。壁をつたい、うんこだらけの下水管をゲロを吐きながら蛇みたいに這って逃げる。生きるか、死ぬかだとこうなれるんだろうか。死んでも下水に入らない人も多いんじゃないでしょうか。
脱走後のシーンはもう、そうだ、よくやったあああーーーーと手をあげていました。自宅で見てると気にせずYHAAAAA!!!!って叫べていいですよね。
レッドとの再会、ラストシーン。
いう事なしですね。
刑務所から出て、こんな風に待ってる友がいたら最高だろうなぁ。。。
私自身、普通の人よりずっと不利な状況に、嫌気がさす事もあるのですが・・・ゆっくりでも続ける事で、この状況から脱獄できる可能性があるかもな、と思いました。20年後、30年後、つまり60歳、70歳になっている訳ですが。そのとき白い砂浜のビーチで太平洋を見れたら最高の気分だろうなぁ・・・。